めまいが起こるしくみと、食事でできる対処法
ふらふらする…
目が回る…
立ちくらみがする…
こうした「めまい」は、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
今回は、めまいが起こるしくみを3つのタイプに分けて解説し、日常生活でできる「食事による対処法」につい紹介します。
めまいの3つのタイプとその原因

①回転性のめまい(目がぐるぐる回る)
これは「自分や周りが回っているように感じる」めまいです。
原因は、耳の奥にある「内耳」というバランスを感じるセンサーで、ここにある「三半規管」や「耳石器」のトラブルで起こります。
代表的な病気:
• 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
→ 頭の向きを変えた時などに、耳石(バランスのセンサー)がずれて三半規管に入り込み、強い回転性のめまいが起きます。
• メニエール病
→ 耳の中にリンパ液がたまりすぎて、感覚器が過剰に刺激され、めまい・耳鳴り・難聴が繰り返されます。
②ふわふわ・フラフラするめまい(浮動性めまい)
体がふわっと浮いた感じがするタイプのめまいで、脳のバランスをつかさどる部分(小脳や脳幹)の血流が悪くなったり、自律神経が乱れたりすると起こります。
代表的な原因:
・ストレス・疲労・睡眠不足
• 脳の血流が悪くなる(脳梗塞の前ぶれなど)
• 自律神経失調症(ストレスや疲れなどで調子が崩れる)
③立ちくらみ・失神型のめまい
立ち上がったときにクラッとするタイプで、一時的に脳に血液や酸素が届かなくなると起こります。
代表的な原因:
• 起立性低血圧(急に立つと血圧が下がる)
• 脱水や発汗
• 低血糖(血糖値が下がる)
• 貧血(特に鉄分不足)
食事でできるタイプ別対策

▶ 共通の基本ポイント
• 水分をしっかりとる(体重kg×0.03リットル)
→ 脱水はすべてのめまいを悪化させます。
• バランスの良い食事を心がける
→ 偏った食事は血圧や血糖の変動、自律神経の乱れにつながります。
・空腹の時間を長くしすぎない
→特に低血糖タイプのめまいには、小分けの食事が効果的です。
①回転性のめまい(BPPV、メニエール病など)
・ビタミンD+カルシウム:魚(さけ・いわし)、牛乳、きのこ、日光浴も◎
→耳石の安定・再発予防に役立つ
・塩分を控える:減塩みそ汁、薄味の煮物など(メニエール病では塩分1日6g未満推奨)
→内耳のむくみを防ぎ、発作を予防
・カフェイン・アルコールを控える:コーヒー・緑茶・お酒
→内耳を刺激して悪化することがある
②浮動性めまい・自律神経の乱れ
・地中海式の食事:オリーブオイル、ナッツ、魚、トマト、雑穀パン
→神経を守り、炎症をおさえる
・ビタミンB群・マグネシウム:玄米、バナナ、納豆、アーモンド
→神経の働きを整える
・よく噛んで食べる:歯ごたえのある野菜や雑穀ご飯
→自律神経が安定しやすくなる
③立ちくらみ貧血・低血糖によるめまい
・鉄+ビタミンC:レバー、赤身の肉、ほうれん草+みかん・いちご
→鉄の吸収を高めて貧血予防
・食事を小分けにする:ヨーグルト、ナッツ、果物
→血糖の急な低下を防ぐ
・水分+適度な塩分:経口補水液、みそ汁、スープ
→血圧の低下を予防する
めまいに関わる栄養素について、さらに詳しく解説します

○ビタミンD
ビタミンDは骨の健康だけでなく、耳石を安定させる働きがあるとされています。
BPPVというタイプのめまいは、この耳石がずれてしまうことで起こるため、ビタミンDの不足は大きなリスクとなります。
特に、屋内で過ごす時間が長い人(在宅勤務の方、高齢者など)では、日光を浴びる時間が少ないため、ビタミンDが不足しやすくなっています。
⏩ 目安:1日400〜800IU(食事またはサプリで)
⏩ 日光浴:1日15〜30分程度(午前中がおすすめ)
○カルシウム
ビタミンDと一緒に働き、耳石を構成する主成分でもあります。
骨の材料でもあるため、中高年の方には特に意識してとってほしい栄養素です。
ただし、カルシウムは単体では吸収されにくいため、ビタミンDと一緒にとるのがポイントです。
⏩ 食材例:牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、小松菜、豆腐
○ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、B12などは、神経の伝達をスムーズにする作用があります。
自律神経が乱れている人や、ストレスが多い人は、ビタミンB群が不足しやすく、ふわふわしためまいの一因になります。
⏩ 食材例:玄米、卵、納豆、豚肉、レバー、青魚
⏩ 注意:アルコールをよく飲む人は、B1が消耗しやすいです。
○ビタミンC+鉄
立ちくらみタイプのめまいでは、「鉄分不足による貧血」も多くみられます。
特に女性(月経のある人)や高齢者では、知らないうちに軽い鉄欠乏状態になっていることがあります。
鉄は単体では吸収されにくいため、ビタミンCと一緒にとることで吸収率が2〜3倍に上がるとされています。
⏩ 食材例:レバー、赤身肉、あさり、ひじき、ほうれん草
⏩ 一緒に:みかん、キウイ、パプリカ、ブロッコリーなど
食事の時間帯

・朝食は抜かない(血糖値の乱れを防ぐ)
・夕食は寝る2〜3時間前までに(消化の負担軽減)
・ビタミンD・カルシウムは朝〜昼にとる方が吸収率が良い
・ 鉄分は空腹時または朝食前後にとると吸収が高まる
このように、栄養素と時間の相性を考えると、より効率よく体の調子を整えることができます。
献立例
【朝食】(ビタミンD・B群・カルシウム重視)
• 雑穀ごはん
• 焼き鮭(ビタミンD・B12)
• 小松菜と豆腐のみそ汁(カルシウム)
• キウイフルーツ(ビタミンC)
【昼食】(鉄+ビタミンC重視)
• 鶏レバーと野菜の甘辛炒め
• 玄米
• キャベツとにんじんのサラダ(レモン汁ドレッシング)
• ヨーグルト
【夕食】(自律神経サポート・軽め)
• アジの塩焼き(青魚のEPA)
• 冷ややっこ+しょうが
• ほうれん草としめじのおひたし
• みそ汁(わかめ、長ネギ)
【間食/夜食】
• バナナ(マグネシウム・B6)
• アーモンド数粒(鉄・マグネシウム)
• カモミールティー(自律神経を落ち着ける)
まとめ
めまいは誰でも起こる身近な症状ですが、原因やタイプによって、食事でできる対策が違います。
最新の研究では、ビタミンDや鉄分、地中海式の食生活が症状の予防に役立つ可能性があることがわかってきました。
「水分を意識する」「鉄分のある食事を増やす」「食べる時間やバランスを整える」といった小さな工夫で、体調が大きく変わります。
また、めまいが頻繁に起きたり、急に激しくなったときには、病院を受診することをおすすめします。